有栖川有栖「折れた岬」(123)
有栖川有栖「折れた岬」(123)
はて、苅田琉介の小説は難解なのだろうか? 滝原は即答をためらう。
読みづらい晦渋(かいじゅう)な文章で綴られているわけではない。むしろ装飾を抑えた素朴な文体だ。波乱万丈のストーリーはないが、不穏で謎めいたムードが全編に漂っており、それが読者にどんどんページをめくらせる推進力になっている。
ミステリとして読んだ場合、答え合わせができないところが挑発的ではあるものの、〈得体が知れない小説〉として丸呑…
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