パラレル・マザーズ
パラレル・マザーズ | |
---|---|
Madres paralelas | |
監督 | ペドロ・アルモドバル |
脚本 | ペドロ・アルモドバル |
製作 | アグスティン・アルモドバル |
製作総指揮 | エステル・ガルシア |
出演者 | ペネロペ・クルス |
音楽 | アルベルト・イグレシアス |
撮影 | ホセ・ルイス・アルカイネ |
編集 | テレサ・フォント |
製作会社 | エル・デセオ |
配給 |
ソニー・ピクチャーズ クラシックス スペイン放送協会 キノフィルムズ |
公開 |
2021年9月1日 (ヴェネツィア国際映画祭) 2021年10月8日 2022年11月3日 |
上映時間 | 123分 |
製作国 | スペイン |
言語 | スペイン語 |
『パラレル・マザーズ』(西: Madres paralelas、英: Parallel Mothers)は、2021年のスペインのドラマ映画。
ペネロペ・クルス主演、ペドロ・アルモドバル監督による新生児取り違えを扱った作品である[1]。また、スペイン内戦による虐殺の歴史も描かれ、高い評価を得る[2]。
2021年9月1日、第78回ヴェネツィア国際映画祭のオープニング作品としてワールドプレミア上映され、観客から9分間のスタンディングオベーションを受けた[3]。本作でペネロペ・クルスは、ヴェネツィア国際映画祭 女優賞を受賞した[4]。
ストーリー
[編集]写真家のジャニスは、法人類学者アルトゥロに、スペイン内戦中に故郷で殺害され集団墓地に埋められた曾祖父や村人たちの遺骨の発掘を依頼する。アルトゥロは、自らの財団で実施することを決め、ジャニスと親密になる。その後、ジャニスはアルトゥロの子を妊娠するが、彼には癌を患っている妻がおり、シングルマザーになることを決意する。
ジャニスは、産婦人科で10代のシングルマザーであるアナと病室を共にし、彼女と同時に出産する。ジャニスはその子をセシリアと名付け、退院後アルトゥロに見せるが、彼は自分と似ていないことを理由に、別の男が父親ではないかと疑う。ジャニスは怒るが不安にもなり、DNA鑑定をする。そして、ジャニスの子供ではないことが判明するが、誰にも打ち明けることなく育て続ける。
数か月後、ジャニスは自宅近くのカフェで働いているアナに遭遇する。アナは、母親のテレサが、女優のキャリアを優先して育児を支えてくれないことに失望し、実家を出て生活しているのだという。ジャニスの自宅に招かれたアナは、自分の子が突然死してしまったことを彼女に明かす。アナの子の写真を見たジャニスは、病院で自分の子とアナの子が取り違えられたことを確信する。
ジャニスはアナを同居させ、家事や育児を手伝わせる。ジャニスは、親子鑑定のためであることを告げずに、アナから唾液のサンプルを採取する。鑑定の結果、セシリアがアナの娘であることが確定した。その後、アナは同級生よる輪姦で妊娠し、相手から口外しないよう圧力をかけられたことを明かす。アナはジャニスに恋心を抱き性行為に及ぶが、ジャニスはそれ以上踏み込まない。
アルトゥロはジャニスのもとを訪れ、財団が遺骨の発掘事業を承認したことと、妻が回復したため別居を決めたことを報告する。アルトゥロとジャニスがバーで祝杯をあげる一方、アナは嫉妬を募らせる。そして、アナのもとに母親のテレサが訪れ、ひどい母親だと思いながらも、女優としての夢を諦めきれなかったことを理解してほしいと頼む。
ついに、ジャニスはアナに真実を告げるが、アナは怒りセシリアを連れて家から出ていく。落ち込んだジャニスはアルトゥロにその事実を打ち明け、二人は一晩を共にする。翌朝、心を静めたアナはジャニスに電話をかけ、セシリアと一緒に再出発しようと話す。
数ヵ月後、ジャニスはアルトゥロと故郷の村を訪れ、遺族から内戦当時の証言を収集し、遺骨発掘の準備をする。ジャニスは、発掘現場にセシリアを連れてやって来たアナに、妊娠3カ月であることを明かす。子供の名前について問われたジャニスは、女の子ならアナ、男の子なら曾祖父にちなんでアントニオにすると答える。遺骨は無事発見され、ジャニスたちは村人とともに発掘場所に集まり、亡くなった愛する人々を悼む。
キャスト
[編集]- ジャニス - ペネロペ・クルス
- アナ - ミレナ・スミット
- アルトゥロ - イスラエル・エレハルデ
- テレサ - アイタナ・サンチェス=ギヨン
- エレナ - ロッシ・デ・パルマ
- ブリヒダ - フリエタ・セラーノ
- ブリヒダの姪 - アデルファ・カルボ
受賞
[編集]映画祭 | 開催回 | 賞 | 該当者 | 結果 | 脚注 |
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ヴェネツィア国際映画祭 | 第78回 | 金獅子賞 | ペドロ・アルモドバル | ノミネート | [5] |
クィア獅子賞 | ノミネート | ||||
女優賞 | ペネロペ・クルス | 受賞 | |||
ハリウッド・ミュージック・イン・メディア賞 | 第12回 | 作曲賞(外国語インディペンデント映画) | アルベルト・イグレシアス | 受賞 | [6] |
フォルケ賞 | 第27回 | 作品賞 | ノミネート | [7] | |
女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | |||
教育賞 | ノミネート | ||||
ロサンゼルス映画批評家協会賞 | 第47回 | 主演女優賞 | ペネロペ・クルス | 受賞 | [8] |
音楽賞 | アルベルト・イグレシアス | 受賞 | |||
全米映画批評家協会 | 第56回 | 女優賞 | ペネロペ・クルス | 受賞 | [9] |
脚本賞 | ペドロ・アルモドバル | 次点 | |||
ゴールデングローブ賞 | 第79回 | 外国語映画賞 | 受賞 | [10] | |
作曲賞 | アルベルト・イグレシアス | ノミネート | |||
サンディエゴ映画批評家協会 | 第26回 | 主演女優賞 | ペネロペ・クルス | 受賞 | [11][12] |
脚本賞 | ペドロ・アルモドバル | ノミネート | |||
外国語映画賞 | 受賞 | ||||
サンフランシスコ・ベイエリア映画批評家協会 | 第20回 | 主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | [13][14] |
外国語映画賞 | ノミネート | ||||
オースティン映画批評家協会 | 第17回 | 女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | [15][16] |
国際映画賞 | ノミネート | ||||
トロント映画批評家協会 | 第25回 | 女優賞 | ペネロペ・クルス | 次点 | [17] |
オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞 | 第11回 | 主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | [18][19] |
フェロス賞 | 第9回 | ドラマ賞 | アグスティン・アルモドバル / エステル・ガルシア | ノミネート | [20] |
監督賞 | ペドロ・アルモドバル | ノミネート | |||
主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | |||
助演女優賞 | アイタナ・サンチェス=ギヨン | 受賞 | |||
ミレナ・スミット | ノミネート | ||||
作曲賞 | アルベルト・イグレシアス | 受賞 | |||
予告編賞 | アルベルト・リール | ノミネート | |||
ポスター賞 | ハビエル・ハエン | 受賞 | |||
ロンドン映画批評家協会賞 | 第42回 | 女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | [21][22] |
CECアワード | 第77回 | 作品賞 | ノミネート | [23] | |
監督賞 | ペドロ・アルモドバル | ノミネート | |||
主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | |||
助演女優賞 | ミレナ・スミット | ノミネート | |||
撮影賞 | ホセ・ルイス・アルカイネ | ノミネート | |||
作曲賞 | アルベルト・イグレシアス | ノミネート | |||
ゴヤ賞 | 第36回 | 作品賞 | ノミネート | [24][25] | |
監督賞 | ペドロ・アルモドバル | ノミネート | |||
主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | |||
助演女優賞 | アイタナ・サンチェス=ギヨン | ノミネート | |||
ミレナ・スミット | ノミネート | ||||
撮影賞 | ホセ・ルイス・アルカイネ | ノミネート | |||
美術賞 | アンソン・ゴメス | ノミネート | |||
音響賞 | セルジオ・ビュルマン / ライア・カサノヴァス / マルク・オルツ | ノミネート | |||
ヒューストン映画批評家協会 | 第15回 | 作品賞 | ノミネート | [26] | |
女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | |||
外国映画賞 | ノミネート | ||||
セザール賞 | 第47回 | 外国語映画賞 | ノミネート | [27] | |
インディペンデント・スピリット賞 | 第37回 | 外国映画賞 | ノミネート | [28] | |
英国アカデミー賞 | 第75回 | 非英語作品賞 | ノミネート | [29] | |
スペイン俳優組合賞 | 第30回 | 主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | [30] |
助演女優賞 | アイタナ・サンチェス=ギヨン | ノミネート | |||
ドリアン賞 | 第13回 | 作品賞 | ノミネート | [31] | |
外国語映画賞 | ノミネート | ||||
パフォーマンス賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | |||
サテライト賞 | 第26回 | 主演女優賞(ドラマ部門) | ペネロペ・クルス | ノミネート | [32] |
脚本賞 | ペドロ・アルモドバル | ノミネート | |||
作曲賞 | アルベルト・イグレシアス | ノミネート | |||
アカデミー賞 | 第94回 | 主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | [33] |
アカデミー作曲賞 | アルベルト・イグレシアス | ノミネート | |||
GLAADメディア賞 | 第33回 | 作品賞 | 受賞 | [34] | |
フォトグラマス・デ・プラータ | 第72回 | 作品賞 | 受賞 | [35] | |
映画女優賞 | ペネロペ・クルス | 受賞 | |||
プラティーノ賞 | 第9回 | イベロアメリカ作品賞 | ノミネート | [36][37] | |
監督賞 | ペドロ・アルモドバル | ノミネート | |||
作曲賞 | アルベルト・イグレシアス | 受賞 | |||
主演女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | |||
助演女優賞 | アイタナ・サンチェス=ギヨン | 受賞 | |||
ミレナ・スミット | ノミネート | ||||
美術賞 | アンソン・ゴメス | 受賞 | |||
ヨーロッパ映画賞 | 第35回 | 女優賞 | ペネロペ・クルス | ノミネート | [38] |
脚注
[編集]- ^ “パラレル・マザーズ”. 映画.com (2022年10月31日). 2023年1月19日閲覧。
- ^ “ペドロ・アルモドバル監督が「パラレル・マザーズ」で内戦に触れるのはなぜ?”. 映画.com (2022年10月27日). 2023年1月19日閲覧。
- ^ “Pedro Almodóvar's ‘Parallel Mothers’ Brings Lido To Its Feet With Nine-Minute Standing Ovation – Venice”. Deadline.com (2021年9月1日). 2023年1月19日閲覧。
- ^ “PREMI UFFICIALI DELLA 78. MOSTRA”. ヴェネツィア・ビエンナーレ (2021年9月11日). 2023年1月19日閲覧。
- ^ “French director Audrey Diwan, actress Penelope Cruz awarded with top Venice Film Festival prizes”. USA Today (11 September 2019). 2023年1月19日閲覧。
- ^ Grein, Paul (November 4, 2021). “Ariana Grande, Beyonce & More Vie for Hollywood Music in Media Awards: Complete Film Nominations List”. Billboard 2023年1月19日閲覧。.
- ^ Rebolledo, Matías G. (11 December 2021). “Lista completa de ganadores de los Premios Forqué 2021”. La Razón. 2023年1月19日閲覧。
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- ^ “'Belfast' & 'The Power of the Dog' Lead Australia's AACTA International Awards Nominations – Full List” (17 December 2021). 2023年1月19日閲覧。
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- ^ Silvestre, Juan (4 April 2022). “Fotogramas de Plata 2021: todos los premiados”. Fotogramas. 2023年1月19日閲覧。
- ^ “"El buen patrón" y la serie argentina "El reino", los más nominados a los Premios Platino”. Telam (31 March 2022). 2023年1月19日閲覧。
- ^ “'El buen patrón' reina en los Premios Platino del cine iberoamericano”. rtve.es (2 May 2022). 2023年1月19日閲覧。
- ^ Bergeson, Samantha (8 November 2022). “‘Close,’ ‘Triangle of Sadness,’ and ‘Holy Spider’ Lead European Film Award Nominations”. IndieWire. 2023年1月19日閲覧。