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薩摩郡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鹿児島県薩摩郡の位置(緑:さつま町 薄緑・水色:後に他郡から編入した区域)

薩摩郡(さつまぐん)は、鹿児島県薩摩国)の

人口18,334人、面積303.9km²、人口密度60.3人/km²。(2024年10月1日、推計人口

以下の1町を含む。

郡域

1879年明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、薩摩川内市の大部分(下記の区域を除く)にあたる。

歴史

近世以降の沿革

  • 明治初年時点では全域が薩摩鹿児島藩領であった。「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での村は以下の通り[1]。全域が現・薩摩川内市。(33村)
    • 入来郷 - 浦之名村、副田村
    • 樋脇郷 - 倉野村、塔之原村、市比野村、久住村、中村、楠元村
    • 百次郷 - 百次村、田崎村
    • 山田郷 - 山田村
    • 平佐郷 - 平佐村、天辰村
    • 隈之城郷 - 東手村、西手村、宮里村
    • 高江郷 - 高江村、久見崎村、寄田村
    • 中郷 - 中郷村
    • 東郷 - 田海村、宍野村、南瀬村、山田村、鳥丸村、白浜村、藤川村、斧淵村、船倉村[2]
    • 串木野郷(一部) - 羽島村
    • 山崎郷(一部) - 白男川村[3]、二渡村[3]、泊野村[3]
  • 明治2年(1869年) - 百次郷と山田郷が合併し永利郷となる。樋脇郷の久住村・中村・楠元村が平佐郷へ移管される。
  • 明治3年(1870年) - 中郷が東郷に編入される。
  • 明治4年7月14日1871年8月29日) - 廃藩置県により鹿児島県の管轄となる。
  • 明治12年(1879年2月17日 - 郡区町村編制法の鹿児島県での施行により、行政区画としての薩摩郡が発足。「宮之城郡役所」が伊佐郡屋地村に設置され、同郡および大隅国菱刈郡とともに管轄。
  • 明治14年(1881年7月28日 - 出水郡高城郡・伊佐郡・甑島郡とともに「隈之城郡役所」の管轄となる。
  • 明治10年代(2町33村)
    • 東手村の一部が分立して向田町となる。
    • 平佐村の一部が分立して白和町となる。

町村制以降の沿革

1.隈之城村 2.永利村 3.入来村 4.高江村 5.平佐村 6.樋脇村 7.下東郷村 8.上東郷村 11.東水引村・西水引村 12.高城村 21.山崎村 22.宮之城村 23.鶴田村 24.大村 25.佐志村 26.永野村 27.黒木村 28.藺牟田村 31.上甑村・里村 32.下甑村(紫:薩摩川内市 桃:さつま町)
  • 明治22年(1889年4月1日 - 町村制の施行により、各郷に隈之城村永利村入来村高江村平佐村樋脇村下東郷村[東郷のうち中郷村・田海村・白浜村]、上東郷村[東郷のうち斧淵村・船倉村・宍野村・鳥丸村・藤川村・南瀬村・山田村]が発足。ただし、串木野郷1村が日置郡串木野村、山崎郷3村が南伊佐郡山崎村のそれぞれ一部となる。(8村)
  • 明治30年(1897年)4月1日 - 郡制の施行のため、「隈之城郡役所」が管轄する薩摩郡・高城郡・南伊佐郡・甑島郡の区域をもって、改めて薩摩郡が発足[4]。以下の各村が本郡の所属となる。(22村)
  • 明治31年(1897年)4月1日 - 郡制を施行。
  • 大正9年(1919年7月1日 - 宮之城村が町制施行して宮之城町となる。(1町21村)
  • 大正11年(1922年)4月1日 - 宮之城町が廃止され、一部(求名)に求名村、残部に改めて宮之城町が発足[5]。(1町22村)
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 昭和4年(1929年5月20日 - 隈之城村・東水引村・平佐村が合併して川内町が発足。(2町19村)
  • 昭和8年(1933年)7月1日 - 西水引村が改称して水引村となる。
  • 昭和15年(1940年
  • 昭和23年(1948年10月1日 - 入来村が町制施行して入来町となる。(3町17村)
  • 昭和24年(1949年
    • 2月1日 - 大村の一部(北方・南方)が分立して中津川村が発足。(3町18村)
    • 4月1日 - 下甑村の一部(藺牟田)が分立して鹿島村が発足。(3町19村)
  • 昭和26年(1951年)4月1日 - 水引村が川内市に編入。(3町18村)
  • 昭和27年(1952年12月1日 - 上東郷村が町制施行・改称して東郷町となる。(4町17村)
  • 昭和28年(1953年11月3日 - 山崎村が町制施行して山崎町となる。(5町16村)
  • 昭和29年(1954年
    • 10月15日 - 佐志村が宮之城町に編入。(5町15村)
    • 12月1日 - 求名村・中津川村・永野村が合併して薩摩町が発足。(6町12村)
  • 昭和30年(1955年)4月1日(6町9村)
    • 黒木村・大村・藺牟田村が合併して祁答院町が発足。
    • 宮之城町・山崎町が合併し、改めて宮之城町が発足。
  • 昭和31年(1956年9月30日 - 永利村・高江村が川内市に編入。(6町7村)
  • 昭和32年(1957年)4月1日 - 下東郷村が分割し、一部(田海の一部[6])が高城村、一部(田海の一部[7])が東郷町、残部(中郷・白浜および田海の残部)が川内市にそれぞれ編入。(6町6村)
  • 昭和35年(1960年1月1日 - 高城村が町制施行して高城町となる。(7町5村)
  • 昭和38年(1963年)4月1日 - 鶴田村が町制施行して鶴田町となる。(8町4村)
  • 昭和40年(1965年4月15日 - 高城町が川内市に編入。(7町4村)
  • 平成16年(2004年10月12日 - 樋脇町・入来町・東郷町・祁答院町・里村・上甑村・下甑村・鹿島村が川内市と合併して薩摩川内市が発足し、郡より離脱。(3町)
  • 平成17年(2005年3月22日 - 宮之城町・鶴田町・薩摩町が合併してさつま町が発足。(1町)

変遷表

自治体の変遷
旧郡 明治22年4月1日 明治22年 - 明治45年 大正1年 - 昭和19年 昭和20年 - 昭和29年 昭和30年 - 昭和63年 平成1年 - 現在 現在
薩摩郡 隈之城村 隈之城村 昭和4年5月20日
川内町
昭和15年2月11日
市制 川内市
川内市 川内市 川内市 平成16年10月12日
薩摩川内市
薩摩川内市
平佐村 平佐村
高城郡 高城郡
東水引村
明治29年3月29日
編入 東水引村
高城郡
西水引村
明治29年3月29日
編入 西水引村
昭和8年7月1日
改称 水引村
昭和26年4月1日
川内市に編入
薩摩郡 永利村 永利村 永利村 永利村 昭和31年9月30日
川内市に編入
高江村 高江村 高江村 高江村
下東郷村 下東郷村 下東郷村 下東郷村 昭和32年4月1日
川内市に編入
昭和32年4月1日
東郷町に編入
昭和32年4月1日
高城村に編入
昭和40年4月15日
川内市に編入
高城郡 高城郡
高城村
明治29年3月29日
編入 高城村
高城村 高城村 昭和35年1月1日
町制 高城町
薩摩郡 上東郷村 上東郷村 上東郷村 昭和27年12月1日
町制 東郷町
東郷町
樋脇村 樋脇村 昭和15年11月10日
町制 樋脇町
樋脇町 樋脇町
入来村 入来村 入来村 昭和23年10月1日
町制 入来町
入来町
甑島郡 甑島郡
上甑村
明治29年3月29日
編入 上甑村
上甑村 上甑村 上甑村
甑島郡
下甑村
明治29年3月29日
編入 下甑村
下甑村 昭和24年4月1日
下甑村
下甑村
昭和24年4月1日
鹿島村
鹿島村
甑島郡
里村
明治29年3月29日
編入 里村
里村 里村 里村
南伊佐郡 南伊佐郡
藺牟田村
明治29年3月29日
編入 藺牟田村
藺牟田村 藺牟田村 昭和30年4月1日
祁答院町
南伊佐郡
黒木村
明治29年3月29日
編入 黒木村
黒木村 黒木村
南伊佐郡
大村
明治29年3月29日
編入 大村
大村 昭和24年2月1日
大村
昭和24年2月1日
中津川村
昭和29年12月1日
編入 薩摩町
薩摩町 平成17年3月22日
さつま町
さつま町
南伊佐郡
永野村
明治29年3月29日
編入 永野村
永野村 永野村
南伊佐郡
宮之城村
明治29年3月29日
編入 宮之城村
大正8年7月1日
町制 宮之城町
大正11年4月1日
求名村
求名村
宮之城町 宮之城町 昭和30年4月1日
宮之城町
南伊佐郡
佐志村
明治29年3月29日
編入 佐志村
佐志村 昭和29年10月15日
宮之城町に編入
南伊佐郡
山崎村
明治29年3月29日
編入 山崎村
山崎村 昭和28年11月3日
町制 山崎町
南伊佐郡
鶴田村
明治29年3月29日
編入 鶴田村
鶴田村 鶴田村 昭和38年4月1日
町制 鶴田町

行政

歴代郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 明治30年(1897年4月1日
郡山軍助 明治44年(1911年)2月4日 在任中に死去[8]
大正15年(1926年)6月30日 郡役所廃止により、廃官

脚注

  1. ^ 郷については「角川日本地名大辞典」による。
  2. ^ 「旧高旧領取調帳データベース」には記載なし。
  3. ^ a b c 記載は伊佐郡。
  4. ^ 鹿兒島縣下國界竝郡界變更及郡廢置(明治29年法律第55号、 原文
  5. ^ https://dl.ndl.go.jp/pid/2954956/1/12
  6. ^ 字五色・宇都川原・枇杷宇都・溝下・枇杷野・石原田・安之木川原・野坂・村友・立花・六地蔵・山下川原・松野・戸川内・川越・時吉・大浦・塩水流・亀割・阿手の木・喜藤田。
  7. ^ 字大中口・井川・賀崎・井川口・大久保・赤崩・寺川内。
  8. ^ 大植 1935, 1202頁.

参考文献

  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 46 鹿児島県、角川書店、1983年3月1日。ISBN 404001460X 
  • 旧高旧領取調帳データベース
  • 大植四郎 編『国民過去帳 明治之巻』尚古房、1935年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1262271 

外部リンク